BEAM Technologiesは、光半導体デバイスを開発する理研発のスタートアップです。 特殊な光を用いて生態系にまつわる諸問題に対しクリーンな解決手段を提供します。
理化学研究所はFar-UVCと呼ばれる特殊な光(波長: 200 - 230 nm)を放射するLEDにおいて、世界に先駆けて1 mWの出力を達成しました。 この特殊な光は優れた殺菌効果とマクロな生体に対する高い安全性を特長とします。 Far-UVC LEDは有人空間における殺菌、空気質の維持・改善、農作物や養殖魚の病気の予防、アレルゲンの不活化など、新しいクリーンな解決策を提供できる大きな可能性を秘めています。
かもめミライ水産の福島陸上養殖場における 次世代RASシステムに向けたFar-UVC技術の導入について
株式会社BEAM Technologies(東京都、代表取締役:飯村一樹・糸数雄吏)は、かもめミライ水産株式会社(以下、かもめミライ水産)が福島県浪江町で展開する完全閉鎖型循環式陸上養殖施設「陸上養殖イノベーションセンター」において、当社のFar-UVCソリューション「BEAMCURE」が導入されたことをお知らせいたします。 ○取り組みについて かもめミライ水産株式会社は、将来の持続可能な水産業を担う存在として期待されている陸上養殖の生産技術を確立し、「マーケットイン」による新たな水産業の発展に貢献するため、高効率かつ環境負荷の少ない陸上養殖施設の実現に取り組んでいます。 陸上養殖、特に閉鎖循環式陸上養殖(RAS)システムは、水資源の有効活用と疾病リスクの低減を可能にする一方で、初期投資や運用コストが高いという課題が指摘されています。特に、既存の殺菌・水質浄化システムは、大型の設備や複雑な配管、維持管理の手間がかかることが多く、これがコスト増の一因となっていました。 こうした背景の中、かもめミライ水産が福島県で推進する先進的な陸上養殖施設に、当社のFar-UVC(波長222nm)照射技術が試験的に導入されました。Far-UVCは、従来のUV-C技術と比較して、生物への安全性が高いとされながらも、強力な殺菌効果を発揮する特性を持っています。 この技術を水槽内に直接適用することで、既存の複雑な水処理システムの一部を簡素化し、設備投資コストや運用コストの削減に貢献することが期待されます。 ○Far UVCによる直接の殺菌について Far-UVCによる直接殺菌は、養殖水中の病原菌を効率的に除去し、より健全な養殖環境を構築することで、魚介類の成長促進、疾病リスクの低減、ひいては生産性向上にも寄与します。これは、高コストという陸上養殖システムの課題を解決し、その普及を加速させる重要な一歩となると考えています。 今回の試験導入を通じて、Far-UVC技術がRASシステムにもたらす具体的な効果を検証し、その最適化を図ってまいります。持続可能で高効率、かつコスト効率に優れた次世代陸上養殖システムの実現に貢献し、水産業の未来に革新をもたらすことを確信しております。 20250723_Press Release
JICA・IDB Lab共催「TSUBASA2025(Businessコース)」に採択されました。 ~世界最大のエビ養殖産地のエクアドルでFar-UVCとIoTを活用したエビ養殖DX事業を展開、中南米・カリブ市場へ本格進出~
株式会社BEAM Technologies(東京都、代表取締役:飯村一樹・糸数雄吏)は、この度、独立行政法人国際協力機構(JICA)と米州開発銀行グループのイノベーション・ラボであるIDB Labが中南米・カリブ地域のSDGs達成および開発課題解決を目指して共催するオープンイノベーションプログラム「TSUBASA2025(Businessコース)」に、エクアドル共和国におけるFar-UVC技術とIoT技術を活用したエビ養殖のデジタルトランスフォーメーション(DX)事業が採択されたことをお知らせいたします。 ○エクアドルにおけるエビ養殖の現状と課題 中南米・カリブ地域は、名目GDPでASEANの1.5倍と経済規模が大きく、特にエビ養殖は同地域の主要産業の一つであり、経済的に極めて重要な位置を占めています。エクアドルは世界最大のエビ輸出国に成長し、その生産量は国家経済を支える基幹産業となっています。しかし、水産養殖業界全体が抱える課題として、疾病による生産性低下、環境負荷、そして伝統的な養殖方法に起因する非効率性が挙げられます。特にエビ養殖においては、水質の管理や疾病の早期発見が生産性向上と持続可能性の鍵となります。 ○本DX事業の概要 本事業は、当社の持つFar-UVC(深紫外)技術とIoT技術を組み合わせることで、エクアドルにおけるエビ養殖の生産性向上、疾病リスクの低減、および環境負荷の軽減を目指します。 具体的には、以下の取り組みを推進してまいります。 1. Far-UVC技術による疾病対策と水質管理: Far-UVCは、人体に安全性が高いとされる波長の紫外線である一方で、効率的に細菌やウイルスの不活化が可能です。養殖場にFar-UVCシステムを導入することで、薬品使用量を抑制しつつ、水中の病原菌を低減させ、エビの疾病リスクを大幅に軽減します。これにより、抗生物質の使用削減や、健全な成育環境の維持に貢献します。 2. IoT技術による養殖データの一元管理と最適化: 水温、酸素濃度、pH値などの水質データ、エビの成長状況、摂餌量などをリアルタイムでモニタリングし、IoTデバイスを通じてクラウド上に集約します。これにより、養殖事業者はスマートフォンやPCからいつでも養殖池の状況を把握できるようになり、データに基づいた科学的な意思決定が可能となります。 3. AI活用による予兆検知と生産性向上: 蓄積されたビッグデータをAIで解析することで、疾病の発生予兆や水質悪化の兆候を早期に検知し、適切な対策を講じることが可能になります。これにより、突発的な被害を最小限に抑え、歩留まりの改善と生産性の向上に貢献します。 ○「TSUBASA2025」採択の意義 TSUBASAプロジェクトは、日本のスタートアップ企業とJICA・IDB Labの共創により、中南米・カリブ地域の開発課題解決を目指す画期的なプログラムです。この度の採択は、当社のFar-UVC技術とIoT技術が、エクアドルのエビ養殖業界における喫緊の課題解決に貢献し、持続可能な経済社会開発を推進する可能性が高いと評価されたものです。 当社は、JICAおよびIDB Labの強力な支援、そして現地ネットワークの活用により、エクアドルを皮切りに中南米・カリブ地域のエビ養殖産業のDXを加速させることを目指します。また、本事業の本格展開を見据え、2026年にはエクアドル国内に現地合弁企業を設立する計画を進めており、地域社会との連携を強化しながら、持続的な事業成長を目指してまいります。 本プロジェクトを通じて、当社は中南米・カリブ地域の経済社会発展と環境負荷軽減に貢献するとともに、グローバル市場におけるプレゼンスを一層高めてまいります。 ○今後の展望:エビ養殖における「アクアメディカル構想」の実現 当社は、本事業を単なる生産性向上に留まらず、エビ養殖を中心とする陸上養殖における「アクアメディカル構想」の実現に向けた第一歩と位置付けています。これは、人間の医療サービスになぞらえ、エビ等の健康管理を包括的にサポートするものです。具体的には以下のサービス展開を目指します。 1. 疾病診断の高度化(問診・診断): IoTセンサーによるリアルタイムデータとAI解析を組み合わせることで、エビの疾病の兆候を早期に捉え、迅速かつ正確な診断を可能にします。これは、人間の健康診断や早期発見に相当します。 2. 消毒殺菌による環境改善(治療・予防): Far-UVC技術を駆使し、養殖水中の病原体を効果的に殺菌・除去することで、エビが健康に生育できるクリーンな環境を維持します。これは予防医療や感染症治療に相当するアプローチです。 3. 定期モニタリングサービス(経過観察・健康管理): 継続的なデータ収集と分析により、エビの健康状態や養殖環境を常に「見える化」し、異常があれば即座に対応できる体制を構築します。これは、人間の定期検診や慢性疾患の経過観察のように長期的な健康管理をサポートします。 当社は、エビ養殖における「未病」の概念を導入し、疾病発生後の対処から未然に防ぐための予防・管理へと転換することで、持続可能で安定したエビの生産に貢献します。 TSUBASA2025 TSUBASA BEAM Press Release
BEAM Technologiesと東京海洋大学 養殖分野におけるFar-UVC技術応用の共同研究を拡大 ~バナメイエビへの安全性・効果検証、共同出願特許を申請~
株式会社BEAM Technologies(本社:東京都、代表取締役:飯村一樹・糸数雄吏、以下「BEAM」)と国立大学法人東京海洋大学(本部:東京都港区、学長:井関俊夫、以下「東京海洋大学」)は、昨年(2024年)に開始したFar-UVC(波長200~230nmの深紫外線)技術の養殖分野への応用に関する共同研究※を拡大し、本年度はバナメイエビを対象とした安全性および効果検証試験を開始しましたことをお知らせいたします。 両者は、Far-UVCが持つ微生物不活化能力に着目し、昨年より養殖環境における病原菌制御や水産生物への影響に関する研究を進めてまいりました。この度、共同研究の成果として、Far-UVC技術の養殖分野への応用に関する特許を共同で出願して、その実用化に向けた歩みを加速させていきます。 ※共同研究課題:2024年「バナメイエビの光照射試験に関する生育研究」、2025年度「バナメイエビのFar-UVC照射試験に関する生育研究」 ○共同研究の背景 近年、持続可能な開発目標(SDGs)への意識の高まりとともに、食料安全保障の観点から、養殖業の重要性が増しています。しかしながら、養殖現場では疾病の発生が大きな課題となっており、生産性低下や経済的損失の原因となっています。従来の薬剤に頼らない、環境負荷の低い疾病対策が求められており、Far-UVC技術は、その安全性の高さと強力な殺菌能力から、新たなソリューションとして注目されています。 Far-UVCは、通常のUV-C(波長254nm)とは異なり、人体や動物の皮膚深部に到達しにくいという特性を持つため、生物への安全性が高いとされています。この特性を活かし、養殖環境において直接的に水や設備を殺菌することで、病原菌の増殖を抑制し、水産生物の健康維持に貢献することが期待されます。 ○共同研究の内容 本年度の共同研究では、国内外で広く養殖されているバナメイエビを対象とし、Far-UVC照射がバナメイエビの生理機能、成長、免疫機能、および疾病抵抗性に与える影響について、詳細な検証を行います。具体的には以下の項目に注力します。 1. Far-UVCの安全性評価: バナメイエビの生存率、行動、組織学的変化などを詳細に観察し、長期的な照射による安全性について評価します。 2. 疾病予防効果の検証: 特定の病原菌(例:EMS関連菌、白斑病ウイルスなど)を導入した環境下でFar-UVCを照射し、疾病発生率の抑制効果を検証します。 3. 成長促進・飼料効率改善効果の検証: Far-UVC照射がバナメイエビの成長速度や飼料転換率に与える影響を評価します。 4. 水質浄化効果の検証: 養殖水中の細菌数や藻類の抑制効果を評価し、養殖環境の改善に寄与するかを検証します。 ○共同出願特許について BEAMと東京海洋大学は、Far-UVC技術が養殖分野において持つ可能性に着目し、その応用に関する共同出願特許を2025年に出願済みです。この特許は、Far-UVCを安全かつ効果的に養殖環境に導入するための技術的基盤を確立するものであり、本研究の成果がその有効性をさらに裏付けるものとなります。 ○今後の展望 BEAMと東京海洋大学は、本共同研究を通じて、Far-UVC技術が持続可能な養殖業の発展に大きく貢献する可能性を追求してまいります。得られた知見と技術は、バナメイエビに留まらず、他の魚種や貝類などの養殖にも応用されることが期待されます。 両者は、共同出願特許を基盤とし、Far-UVCを活用した革新的な養殖システムの開発と実用化を推進することで、水産資源の安定供給と、食の安全・安心に貢献してまいります。さらにはアクアメディカル構想についても両者で協力しながら推進していきます。 20250612_Press Release